周囲の景色に溶け込むように、みずみずしい美しさを放つ邸宅。静かな環境で自然を近くに感じながら暮らしたいと、土地探しから始まった家づくりは、市街地近くで交通の利便性にもこだわると、なかなか理想の地に出会えなかったといいます。「ふたりでウォーキングをしながら、１００件以上は見て回ったと思います」と、気付けば10年という月日が流れていました。ようやく巡り合った理想の敷地は、当初古い建物がありましたが、更地として予算内で購入できたため新しく建て替えることにしました。
　そして、ご夫婦がもうひとつこだわったのが建築家との家づくりでした。土地の形状や特性を生かしながら自分たちらしい住まいを実現するには、建築家が最適だと考え、友人宅を手掛けていたＨＡＳ エイチ・エーエスへお願いすることに。この景観を生かすにあたって必然的にプランニングされたのが「2階リビング×１階プライべートスペース」。玄関から２階へ上がると、細かなピッチで配されたスギ材の梁見せ天井がリズムを生み出し、こだわりの造作キッチンやオークの無垢床、ペイント壁を中心にデザインされたＬＤＫは、潔ささえ感じる空間に。四方に窓を配し、目の前には緑豊かな木々の様子や空が広がり、視点を変えれば松山城や市街地も望める、どこを見渡しても自然や景観が楽しめる設計となりました。
　必要最低限の設備と居室で整えられた邸内は、「シンプルに、暮らしを大切にしたい」ご夫婦の思いがそこに感じられます。新しい住まいを手に入れてからは、景色を見ながら過ごすことが増えたそう。自然の変化を見届けながら穏やかなときを紡いでいます。