「どうぞ、わが家のリビングは外です」。存在感のある黒い外観、バーのような表札、玄関にはロードバイクと、驚きの展開の先がアウトドアリビングとは！ 目を丸くする取材陣に「テーマは“やんちゃオヤジの秘密基地”。やりすぎ感を楽しみながら作りました」と、ご主人はいたずらっぽく笑います。
　パートナーと暮らす新居に求めたのは“ふたりにちょうどいいサイズ、ちょうどいい間取り”。「ベースは賃貸のときと同じ２ＤＫ。ウッドデッキをリビングにすることで、自分たちには手に余る空間を作る必要がありませんでした」。住まいのセオリーをいったん白紙にして、自分たちがどう暮らしたいかを道しるべに進めた家づくり。「広さでなく、生活に合う条件を満たせば、住み方次第で快適に暮らせるものですよ」という言葉には思わず納得。ご主人が家づくりに携わる住宅のプロと聞けば、その確かな説得力にも頷けます。「小さく建てて、豊かに暮らす。そんな一戸建ては、共働き＆子なしのディンクス夫婦や自立した独身の方にもおすすめです。自分たちの価値観を形にした家は、どんなときも心にフィットします」。
　口出しせずとも理想の住まいが完成していたという奥さま。それはご主人のプロとしての経験やセンスはもちろん、互いの仕事や性格、趣味を理解し合ってきたおふたりの努力のたまもの。「特別なリクエストはありません。彼がいればそれだけでいいので」。
　遊び心を散りばめた住まいにも、愛のあるコメントにもシビレた天野邸でのひととき。大きな空の下のリビングで大好きなお酒を酌み交わしながらくつろぐふたりの暮らしの輪郭が見えたとき、とてもしあわせな気持ちになりました。