どうぞ座ってください…と声をかけながら、慣れた手つきでコーヒーを淹れ始めたご主人。甘い香りがリビングに広がるころ、ゆっくりと話しはじめてくれました。「コーヒーの道具もそうですが、日常で使うものは、形がシンプルで長く使えるものがいいと思います。家のコンセプトにもそういうところがありました」。
　山と空が近い、なごやかで牧歌的な風景。奥さまが生まれ育ったこの土地で幼い子どもたちと暮らす家を建てようと考えたＹさんご夫妻。自分たちのライフスタイルと住環境を考え、チョイスしたのがｓｏｒａｉのハイクオリティライン「ｓｏｒａｉ×ｒｅｎｇｏＤＭＳ」。東京の建築家集団、ｒｅｎｇｏＤＭＳの感性と香川の自然環境を知り尽くした地元大工のコラボレーション。住人の個性や暮らし方を理解したディレクションがよかったと振り返ります。
　そして完成したのは、中庭を抱くＬ字の平屋。住み心地のよさはもちろん、ご主人が気に入っているのは“素材を感じられる造り”。「リビングのあらわしの天井だったり、寝室の杉の板張りだったり、見ていて美しいなぁと思うものが日常の中にあるのがうれしい」と、にっこり。
　ほかにも、素朴な塗り壁とガルバの組み合わせが美しい外観や、低く設定した天井高ギリギリに取り付けて視覚的な広がりをもたせた窓など、上質だけどどこか主張は抑えた佇まいが印象的でした。きっとそれがご主人の思う「シンプルで長く使える家」に、つながっているのでしょう。
　帰り際、敷地の角にある桜の木が満開になった姿を想像して、とても幸せな気分になりました。毎年欠かさず咲く桜とともに、家族も住まいも日々成長していきます。