家を建ててから、『家』が大好きになったというご主人。わが家完成後もいろんな家を大工のような視点で見るようになったのだそう。「何でも好きになったらこだわりが出るほうなんです」と語るように、そのこだわりは職人並み。M邸の外観はゆるやかな曲線を描く軒天むくりの仕上げにし、控えめながら匠の技が光る、上質感をたたえています。また、玄関はおもてなしの心を宿した旅館の雰囲気にこだわりました。そのほか、和室やＬＤＫなど無垢の木々は節のないものを採用し、すっきりと落ち着いた印象に。無節の木は、高級感をもたらすと同時に、住むほどに味わいを増していくのも魅力です。
　そんなMさんご夫妻と和住宅の出会いは、直感にも似た一軒の家の存在でした。以前住んでいたところから見える切妻屋根の純和風の邸宅。「ふたりとも、その家の雰囲気に魅せられたんです」と奥さま。直接、家の主を訪れて、和住宅の存在を知ったと語ってくれました。
　家づくりがスタートしてからは、自分たちの暮らしにちょうどいいサイズでありながら、開放的な空間を大切にしたそう。「うちは延床面積も40坪程度で決して広い家ではないですが、開放感にはこだわりました」とご主人。そのために足し算ではなく、引き算方式で家づくりを考えたと話してくれました。廊下をなくし、２列キッチンにして幅を短くすることで圧迫感のないＬＤＫが実現したのです。また２階の子ども部屋も屋根勾配を生かした開放的なワンフロアにし、将来的に間仕切れるように設計されています。現在１歳４ヵ月の真緒ちゃんにとって、明るく開放的なキッズルームは最高の遊び場です。開放的な間取りと、細部に宿る匠の技。心なごむ和の邸宅の誕生です。