のどかな田園風景が続く山沿い。小高い場所に遠目でも目立つ１軒の家を見つけた時、そこが目的地だとすぐわかりました。山の緑に映える大きな三角屋根と白い塗り壁。シンプルな中にも温かみを感じさせるお宅には、掛け合い漫才みたいな会話が楽しいＳさんご夫妻と、女の子だけど“わんぱく”という言葉がぴったりなお嬢さん。そしてマイペースな黒ネコ１匹が仲良く暮らしていました。
　家の隅々まで息づいていたのは、奥さまのこだわりです。「イメージしたのは山小屋。自然に恵まれた環境なので、そのロケーションを生かしつつ、大好きな北欧スタイルを暮らしに取り入れられるように考えました」。
　改めてスキップフロアで上下につながるＬＤＫを見渡すと、天然杉の床、アーチ型に抜いた開口部、木素材のキッチン…など、空間の印象を決める素材のほとんどが木材で統一され、色合いやテイストも温かみのあるものでまとめられています。
　そして、空間を彩るのは使うごとに深みの増すインテリアや雑貨たち。マリメッコのファブリックカーテンやアイアンのパーツ、コロンと丸いガラスシェードの照明など、どこか愛嬌のあるモノたちが空間を引き立てます。
　そんな奥さまの思い描く世界観を理解し、レスポンスよく返したのはビルドの女性設計士。「同世代で好みをよくわかってくれて…。私たちの思い描いたイメージ通りの家が完成して大満足です。冬はビルドさんのペレットストーブの温かさにも癒されました」。
　その住み心地のよさを一番感じていたのは娘さんと猫ちゃん。深結ちゃんはいつもお気に入りのリビングでお昼寝。猫ちゃんはその時の気分であちこち。肩の力を抜いて、自然のチカラと寄り添いながら…。この家の楽しみ方はいくらでも見つかります。