緩やかな傾斜の切妻屋根が、大空に抱かれるように佇むＹ邸。流れるような平屋の存在感は、悠々とした空間を引き立てています。
　シンボルツリーとなるのは、もみじの木。春には芽吹く姿を、夏は萌えるような若草を、そして秋は紅色に染まった姿を見せてくれるもみじ。奥さまは、「四季の移ろいを目で楽しめるのが決め手だった」と話してくれました。Ｙ邸のコンセプトでもある、「地域の環境になじみ、風土に合った家」にふさわしいセレクトです。
　そして、玄関を入ると飛び込んでくるのが、家の北側にある中庭。廊下の下部には窓が設けられ、つくばいやもみじなど和の情緒あふれる空間がここにも見えます。また、ご主人たっての希望だったこの中庭は、ダイニングからも眺めることができます。家全体の主張を控えめに、平屋に合った和の世界を表現した粋なしつらえです。
　ＬＤＫに入ると、南側の大きな窓からは十分な光が注ぎ、窓を開放すればデッキまでもがリビングと一体になって新しい空間を作り出します。こうして、家のなかにいながら、外の空間とつながることで、暮らしに彩りを添えてくれるのがＹ邸の魅力です。
　家族やお客さまが集うパブリックな空間と、寝室や子ども部屋などのプライベート空間をさりげなく分けつつ、スムーズな動線を確保しているのもＹ邸の特徴。平屋ならではの平面で動く動線は、家事や育児に忙しい子育て世代の憧れの間取りです。
　庭と室内、部屋と部屋、家と景観、そして親から子どもたちへ…。それらをつなぎ、トータルでコーディネイトすることが、本来の生活環境に合った快適な家なのだとＹ邸が教えてくれているようです。住んで４年目というＹさんご家族のやさしい笑顔が、毎日の快適な暮らしを物語っています。