自然素材の家であること。それがＨさんのこだわりでした。子どもにアレルギーが見られることや、奥さまが化学物質を好まないことから、そこは最優先事項でした。そのほか「自然と片付くような適材適所の収納」や「子どものしつけがしやすい環境」にも配慮したそう。家は物質的な環境を与えてくれると同時に、生活をする上で大切なことを学ぶ場所でもあるのですね。奥さまの言葉に家の持つポテンシャルを改めて実感しました。
　娘さんの小学校入学のタイミング、増税前のタイミングもあり、家づくりに踏み切ったＨさん。前川材木店の印象を「多角的に暮らしを見ていろんな提案をしてくれた」とご主人は話してくれました。例えば西側は収納やトイレを配置し、西日をカットしています。また土間はタイルで考えていましたが、予算的に安価な炭モルタルを提案してくれたそう。炭モルタルはコンクリートよりもきめが細かく、質感も陶器のようで美しい仕上がりです。さらに、キッチンの側面に付けられた鮮やかなブルーの壁は、イタリア磨きを施した左官職人の技によるもの。透明感のあるツヤが表面を覆い、唯一無二のアート作品になっています。間取りはもちろん細かいパーツに至るまで次々に斬新な提案があったことは、Ｈさんご夫妻にとってとても刺激になったよう。「完成後は、家が手に入ったという喜びとともに、家づくりが終わってしまうさみしさも感じた」と話してくれました。最後に家ができて変わったことはありますか？ という質問を投げかけると、奥さまはこう答えてくれました。「この家に住み始めて子どもたちとパパが遊んでいるシーンを見るだけでしあわせを感じるようになりました」と。何気ない日常の風景をトキメキに変えるのも家の力なのですね。