情緒あふれる洗い出しの土間を上がると、モダンな白と天然木が魅せる美しい対比が目の前に。天井の梁は、構造をむき出しにした現し仕上げ。精巧な技を要するしつらえですが、視覚に広がりを与え、窓からの光にやわらかな陰影を添えてくれます。リビング階段のあるこのＬＤＫは、Ｏさん家族が一番くつろげる場所。将来を考え、「１階だけで過ごせる平屋風に」という希望でした。
　元々は奥さまの両親が車庫を予定していた変形地。違和感のなさはルーム建築工房の巧みなゾーニングあってこそです。変形ゆえに余る木は２階の天井に使うなど資材も大切に。コストやメンテナンス面への配慮も細やかで、壁目地に隙間を設けて経年劣化を目立たせない工夫も見られます。実はこの隙間、ほのかな陰影を生み出す効果も。そう言えば、表の板塀にもカーポートの格子にも、光と影が織り成す心地よい陰影がありました。日が暮れると、漏れた明かりがまた新たな表情を作るでしょう。繊細な設計のなかに、毎日の暮らしと少し先の未来を豊かにする工夫を。Ｏさん家族のようにルーム建築工房の実例を見て指名する人が多いのは、そんなこだわりがどの家にも感じられるからかもしれません。