生まれ育った家庭の味によって、それぞれの味覚が違うように、生まれ育った家によっても、人の感性や考え方は変わってくるもの。大きな日本家屋で育ったご主人。天然木をふんだんに使った家で育った奥さま。ふたりのバックグラウンドがあるからこそ、すべての空間がのびやかで、心豊かに暮らせる家ができたのだと納得しました。
　敷地はもちろん、家自体も間取りも大きいＫさん邸。設計は１ｍを基準とするメーターモジュールで行われ、一般的な尺モジュールと比べて約90㎜長く、廊下や階段、洗面所などのスペースもたっぷり。広い住宅で育ったおふたりにとってこの基準は自然なことだったのでしょう。
　ほかにも、宅内ＬＡＮなどの配線設備や美観を損なわないためのエアコン隠ぺい配管は、実家のリフォームを経験したご主人の知識や目線を生かしたもの。杉、ヒノキなどの無垢材をふんだんに使った内装、玄関先のステンドグラスや和室の飾り障子など、空間のディテール作りは奥さまが進行。ふたりの感性とアイムの家のていねいなプランニングがマッチして「すべてが満足の家」に仕上がりました。
　「もちろん、広さにこだわった分、自分たちでできることはしっかり動いて、コストを抑えました」と奥さま。使いたい建材はショールームを回って探し、構造や仕様についてはご主人がプロ顔負けの見識で提案。
　こうして打ち合わせの度に増えていった資料は大切にファイリングされています。子どもたちが大きくなったとき、「この家はこうやってできたのよ」と話してあげられるのはしあわせなこと。彼らにとってのバックグラウンドである、かけがえのない家。家によって育てられ、家によって成長していく姿がとても楽しみです。