施主のＭさんと谷本建設のプランナーは高校時代の同級生。さらにご主人も建築業界で働いているとだけあって、家づくりには特別な思いがあったようです。自分が住む家だから、できることは自分でしたいと、屋根や内装の一部はご主人が自ら施工したのだとか。「谷本さんには、いろいろなことを言いましたが、どれも気持ちよく応えてくれたので、やっぱりここに頼んでよかったと思いました」とご主人。谷本建設の「施主もスタッフもみんなで一丸となって一緒に作ろう」というコンセプト通り、この家に関わった人みんなで作り上げた家になりました。
　そんな幸せを育むＭ邸は、景観の取り方が見事。南側にある柿畑や、西側の庭にある桃の木など、借景を生かすための緻密に計算された設計が垣間見えます。
　まず和室。窓には、一面に広がる柿畑が。季節ごとに姿を変えるさまに、わびさびの世界を体感できることでしょう。窓は低めのはき出し窓を採用し、壁面から天井にかけては丸く孤を描くようにデザインされています。和室を全体的に低い目線で設計するのは、畳に座ったときの心地いい高さを考えた結果なのだとか。また、立ったときも、窓の下方向から入る光はやわらかく、しんとした落ち着きのある空間になりました。
　一方で、ＬＤＫには高さを設けました。高さのある窓にダイニング上の吹き抜け、リビングの上にはロフトを設置することでさらに縦のラインが強調されます。部屋の役割ごとに天井の高さをコントロールしたメリハリのあるお宅の完成です。
　「家を建てる計画から５年。今とても満足しています」窓から見える桃の花は、Ｍさんの心情を表すかのように満開に咲き誇っていました。