これまでの住宅は家族が個々の部屋を持つブドウ型でしたが、これからは芯のまわりに大きな実をつけるリンゴのような家になってくると思います」。そう話してくれたのは金丸工務店の藤田社長。家族の暮らしを集約した１階を軸に、豊かな生活空間を膨らませたＯさん邸は、まさにリンゴ型のお宅でした。
　「家族がいつも一緒に居たいから…」と重点を置いた１階は、リビング、和室、学習スペース、キッチンなど、それぞれの空間が明確に表現されつつ、広い一つの空間として一体感を持たせた造り。リビングに接したテラスは視覚的な広がりを印象付け、同時に風と光を室内に取り込みます。さらに、壁で囲むことにより、プライバシーを保ちつつ開放感のある一つの部屋としての使い方ができるのも魅力です。
　また、「収納や掃除が大好き」という奥さまのこだわりが凝縮された家事動線には、働くママの悩みを解決するアイデアがたくさん。例えば、夜の洗濯にも急な雨にも関係なく洗い物を干せるインナーテラスを設けたり、キッチンには車から重い買い物袋をそのまま運び込めるガレージ直通の勝手口を作ったり。さらに「リビングの学習スペースがよかった」と奥さまは加えます。「長男が今、九九を習っている時期なので、キッチンで家事をしながら九九の練習や音読を聞いてあげられます」。
　そんな話をしている間も、子どもたちはダダダーッと走って１階と２階を行ったり来たり。自由に楽しみながらも、どこかお互いの存在を感じ合って、安心しているようにも見えます。太陽の光をたっぷり浴びておいしく大きく育つリンゴのように、家族みんなが笑顔になれる住まいでスクスク成長する日々が楽しみです。