五重塔がそびえる古いお寺のふもとに、Ｓ邸はありました。庭まわりからアプローチまでの演出は、日本らしい奥ゆかしさがありながらも凛とした存在感のあるお宅です。それもそのはず、庭の石は庵治石を使い、植木も日本の在来種を選んでいます。木も石も、土地の気候や風土に合ったものを使いたいというＳさんのこだわりです。
　部屋に入ると、18帖のＬＤＫと８帖の和室が隣り合わせになっていて、解放感のある間取りになっています。リビングの大きな窓からはデッキと庭が見え、視覚的に外部エリアも取り込んだ心地いい空間です。窓からは十分な明かりが入り、昼間は天然光だけで過ごすことができます。
　「新しい服を着たとき、すぐ体にフィットしないことがありますが、この家は入ったときからとても体になじみました」とＳさん。新しい家なのにぎこちなさがない家。それはこの家が耐久性や耐震性はもちろんのこと、住環境においても配慮された家であることを意味しています。木や土、和紙など自然素材をふんだんに使うことで、家のなかに天然ものならではの豊かな表情を作り出しました。住む人の心地よさを一番に、そして町並みにも配慮したＳ邸。１００年、２００年といつまでも長く住み続けられる家、それが金丸工務店の家づくりです。
　十数年前、Ｓさんが散歩中に見かけたあるお宅。その佇まいに憧れ、いつか自分で家を建てるならこんな家と思い続けてきたそう。そしてその家を手掛けた金丸工務店に依頼。ついに夢は現実のものとなりました。吟味して選んだ京都の唐紙、こだわりの建具。ジョージナカシマの椅子に腰かけると、窓からは気持ちいい初夏の風が入ってきました。