綾川町でいちご農家を営むご夫妻。元々は実家の稼業で一度は廃業しましたが、県外産が多く出回るなか、地元の人に採れたての味を届けたいと一念発起。生産者の顔が見える直売所兼作業場をルーム建築工房に託しました。
　収穫時期になるといちごのみずみずしい香りに包まれる作業場は、松や杉の木目が美しいナチュラルな空間。梁をそのまま生かした勾配天井で広く感じられます。直売所と作業場を仕切る格子の壁は、板を湾曲させた匠の技。ご夫妻の朗らかな人柄を思わせるやさしいデザインとなり、装飾を控え機能を重視した作業場に温もりを添えています。一方、木のやわらかな色合い×シックなアイアンが魅力の販売コーナーは、お客さまが気軽に立ち寄れるカフェ風に。一枚板の立派なカウンターを囲んでみんなが顔を合わせ、言葉を交わし、日々笑顔が生まれています。
　機能的で遊び心あるデザインを得意とするルーム建築工房らしく、扉や棚、ラダー、ニッチなどの造作にも細やかな工夫が。ご夫妻はもちろんお子さんがオイルニス仕上げを手伝ったり、左官である奥さまのお父さまが漆喰の壁を仕上げたり。まさにみんなの手で完成させた、地域の憩いの場です。