欄間が美しい数寄屋門に心奪われるこちらのお宅。門をくぐった先には、自然とともに暮らす、やさしい住まいがありました。
　ご夫婦が目指したのは、「すてきな家」ではなく「すてきな暮らし」を送るための家。子どもをどんな家に住まわせたいかを考えたとき、まず浮かんだのが自然素材の家だったと振り返ります。「無垢の家は手入れが大変だとも言われますが、傷やメンテナンスさえも楽しめるような暮らしを送りたいと思いました」とご主人。壁は火山灰から採れる１００％天然由来のシラスで塗られているので、真夏でも室内の空気はさらりと快適。独特のナチュラルな風合いも、自然素材の家によく合います。
　一息つくときに落ち着く明るさを考えて、あえて窓は少なく、必要なところに必要な大きさの窓を設置しているのもこちらのお宅の特長です。窓から差し込むやわらかな光や、自然素材のおかげで、まるで森のなかの細道を歩いているかのように、ほっとやすらぐ雰囲気が家じゅうに漂っています。
　すてきな暮らしを送るための工夫は、ほかにも。こちらのお宅は住宅地のなかにあることから、中庭を望む大きな窓を設け、美しい景観が楽しめるスポットを意図的に作ることにしました。「子どもも、中庭のウッドデッキで朝ごはんを食べると、いつもよりたくさん食べてくれるんですよ」と奥さまは話してくれました。また、忙しい日々のなかでも気持ちよく家事や育児をするために、キッチンの位置にもこだわりが。調理や片付けをしながらお子さまの様子を見守れることはもちろん、ふと顔を上げると目に入る中庭の景色が、自然と穏やかな気持ちにさせてくれます。
　家族と過ごす時間を愛おしく、健やかなものにするための家で暮らす。その豊かさに気づかせてくれる取材でした。