緻密かつ味のあるイラストが印象的な『「囲炉裏暖炉」のある家づくり』は、施主である大内正伸さんの著書。自身の家づくりを綴った美しい誌面からは、自然や暮らしを尊ぶ気持ちが伝わります。
　日本の森林や林業に精通し、里山再生をライフワークとする大内さんがアンシング・ホームと作り上げたのは、瀬戸内海を望む眺めのいい２階にリビングとアトリエを据えた高性能住宅。構造と内装に国産の無垢材と漆喰を使い、手を加えながら暮らしを育てられるようにＤＩＹの余地を残した住まいには、唯一無二の魅力が点在しています。
　なかでも目を引くのは、大内さん自身が設計した囲炉裏暖炉。直火による暖房から調理、おもてなしにも使える万能ツールは、大内さんにとって、仕事も趣味も自由に楽しむことができる人生の相棒であり、生活の軸にもなっているようです。
　「建築基準やコストの制限すらも、理想の住空間を創造するための醍醐味だった」と、語る大内さんと細川社長。住み手とビルダーのものづくりに対する共通の哲学をちりばめたからこそ、暮らしのすべてが愛おしく、これからも豊かな輝きを放ち続けます。