「この地に住みたい」、ご主人が自身の足で歩いて理想の土地を見つけたときから、家づくりが現実のものとして動き始めました。パン屋を営んで３〜４年経った頃から、マイホーム建築を考えていたというご夫婦。ご主人が思い描いていたのは店舗と住居が一体となった建物でしたが、奥さまは当初はピンとこなかったと言います。しかし、日々新しい発見や成長を見せるお子さんと生活を送るなかで「店舗併用住宅だと子育てしやすいのではないか」と考えが変化。通勤時間が短縮でき、働いている姿をお子さんに見せられる店舗併用住宅は、“そこに根ざして生きていく”という意味合いが感じられるものだという結論に至りました。建築を依頼したＨＡＳ（エイチ・エーエス）は、数社検討したなかで「一番話しやすく、信頼できました」とご主人。店舗を手掛けた実績があるというのも、大きなプラス要素になったそうです。
　ＨＡＳとともに編み出した全体像は、“平屋建て、パン屋然としていないパン屋”。住まう自分たちだけでなく、来店客が訪れる場であることを思った造りとなっています。店舗については主にご主人が要望を。外構の木々と木造の建物が印象的なエントランスは、パンを求めてやってくる人々をやさしく迎えます。熱気がこもりがちな厨房は、空気が流れるような間取りを希望。自然光が入る天窓を設け、日中の厨房内は灯りをともさずともやわらかな光に満ちています。住居部分は「自然体の暮らしが叶う、ナチュラルテイストに」と、奥さまの意向を反映した空間に。畳や縁側を取り入れ、古き良き和のしつらいも。敷地内に畑を作り、“この場所で叶うこと”を家族で存分に楽しむ毎日です。