和の立派な門構えと真っ白いスイス漆喰が引き立つS邸。広々とした玄関から和室は純和風の空間となっている。そこからリビングの扉を開けると雰囲気が一転、無垢の杉の床と天井、漆喰の塗り壁、そして薪ストーブのあるカジュアルなイメージに。雰囲気の違いもさることながら、２階へ進むとさらに遊びがいっぱいの空間に驚く。子ども部屋にはロッククライミング、落書きのできる壁など、子どもが喜ぶ仕掛けがいっぱい。さらに今後は、吹き抜けを上り降りできるようにしたり、ブランコも造る予定だとか。「子どものとき、こんな家に住めたらいいなぁと思っていた」とS主人。子どもの頃の夢を形にした、大人も子どもも楽しめる家となっている。
　S夫妻が家を建て始めたのは、２０１０年5月のこと。それまでに家づくりの構想は充分に練っていたが、工事が始まっても「これもしたい、あれもしたい」とアイデアがどんどんわいてきたという。また、S主人は和モダン、S夫人は、ヨーロッパスタイルの洋風が好みだったことから、和と洋をうまく組み合わせるのにも苦労した。
　さらに遊びの部分だけではなく、S夫人と子どもがアトピーであるため、体に負担が少なく、症状が癒されるよう、自然素材をふんだんに取り入れているのも大きな特徴のひとつ。デザインのみでなく、家事動線にも配慮した使い勝手の良さ、長期優良住宅にも対応した仕様と、機能性も兼ね備えた住まいを目指した。
　とくに健康面では、ＩＣＡＳを取り入れているのがポイント。ＩＣＡＳとは、室内の下地に特殊樹脂を配合した木炭塗料を塗布し、地中に埋めたタンクから地電流を利用して室内の空気改善、マイナスイオン環境を実現。真に健康に配慮した住宅にもなっている。